ドローンポートを用いた医薬品授受管理の実証を実施

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2024年2月27日

KDDI株式会社
KDDIスマートドローン株式会社
日本航空株式会社
東日本旅客鉄道株式会社
株式会社ウェザーニューズ
株式会社メディセオ

~ドローン輸送サービスの社会実装に向け、安全な授受・省人化の実現を目指す~

KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠)、KDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:博野 雅文)、日本航空株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長 グループCEO:赤坂 祐二)、東日本旅客鉄道株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:深澤 祐二)、株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長:草開 千仁)、株式会社メディセオ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:今川 国明)は2024年2月13日から2月22日、東京都江東区にて、ドローンポートを活用した医薬品授受管理の実証(以下 本実証)を実施しました。

<本実証の様子>

本実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」(該当項目へジャンプします注1)に基づき、都内におけるドローン物流サービスの早期の社会実装を目指すものです。2023年度は、昨年12月に実施した日本初(該当項目へジャンプします注2)となるレベル4飛行での医薬品配送に続き、本実証ではドローンポートを用いて、輸送された医薬品の安全な授受と、授受管理の省人化に向け、検証を行いました。

2023年度 コンソーシアム各社の役割

KDDI株式会社 プロジェクト全体取りまとめ
KDDIスマートドローン株式会社 スマートドローンプラットフォームの提供
レベル4飛行における機体運航業務
日本航空株式会社 ドローン物流ビジネスの策定・評価検証
ドローンポートの運用検証業務
東日本旅客鉄道株式会社 ドローン物流ビジネスの将来的な実装場所にかかる検討支援
株式会社ウェザーニューズ 安全運航のための気象データ提供および助言
株式会社メディセオ ドローンを利用した医薬品配送手順の策定および検証

1. 本実証について

  • (1)実証概要

    実証概要

    ドローン物流サービスの社会実装に向け、ドローンポートの有効性および業務フローの検証を、2024年2月13日から2月22日に実施しました。
    ドローンによる物資輸送サービスが社会で広く利用されるためには、ドローンの安全運航のほか、配送物の安全かつ確実な授受と、授受管理の省人化による利便性向上などの実現が必要です。これまでの実証ではドローンが着陸する際の安全管理や、配送物の受け取りなどの人員を配置する必要がありました。そのため、本実証では、荷物の格納が可能なドローンポートを用いた離着陸場所を、医療機関に隣接した場所に構築し、ドローンによる医薬品輸送サービスに求められる離着陸時の安全確保や、配送物の授受管理の利便性について検証を行いました。

    実施日時 2024年2月13日から2月22日までの平日
    9時ごろから13時ごろまで
    実施場所

    東京都江東区豊洲5丁目

    出典:国土地理院ウェブサイト

    使用ポート

    IHI運搬機械社製ドローンポート

    サイズ 高さ2.4m
    幅2m
    奥行4.8m
    ドローン着陸可能範囲 幅1.5m x 奥行1.5m
    荷物適応サイズ 幅 260mm
    奥行 340mm
    高さ 200mm
    重量 2.7kg(最大)
    通知機能 荷物受領メール送信機能付き
    荷物の取出し方法 荷物受領メールに記載された暗証番号をタッチパネルで入力し、取出し口を開錠
    電源 単相AC100V、1.5kVA
    使用機体

    ACSL社製「ACSL-PF2」

    全長
    (プロペラ含む)
    1,173mm
    高さ
    (アンテナ除く)
    526mm
    飛行速度 10m/s
    航続時間 最大29分(ペイロード0kg)
    最大ペイロード 2.75kg
    最大離陸重量 9.8kg
    耐風速 10m/s
  • (2)ドローンポートの運用フロー

    ドローンポートの運用フロー

  • (3)協力

    協力

    IHI運搬機械株式会社
    聖路加国際病院
    昭和大学江東豊洲病院
    がん研有明病院
    東京臨海病院

2. 実証結果

実証期間中、東京都病院薬剤師会会長の聖路加国際病院・後藤先生、昭和大学江東豊洲病院・柏原先生、がん研有明病院・山口先生、東京臨海病院・勝田先生をはじめとした病院関係者約40名にお越しいただき、ドローンポートを用いた医薬品輸送を体験いただきました。

体験いただいた多くの方からは、「ドローンポートを省スペース化し、病院の屋上など院内に設置してほしい」というコメントをいただきました。また、東京都病院薬剤師会会長の後藤先生からは、「医薬品を受け取るだけではなく、病院からの発送も可能になれば、薬の返品もできるのに加え、緊急時の病院間での医薬品の融通も期待できる」「ドローンポートを利用し夜間にも医薬品の配送が可能になると、病院および医薬品卸会社の双方で人員が少ない時間帯の省人化につながる」など、将来の医薬品物流の進展にますます期待が高まったとコメントをいただきました。
社会実装に向けては、設置場所に適したサイズのドローンポートが求められていること、ドローンポートとドローン間のシステム連携が必要であること、高精度な着陸やより多くのペイロードを運搬できるドローンが求められていることなどの課題・期待を把握しました。本実証で把握した課題・ニーズを汲み取り、将来の都内における医薬品輸送サービスの実現を目指していきます。

東京都病院薬剤師会会長
聖路加国際病院薬剤部部長
後藤 一美先生

<病院関係者の方々に本実証を視察いただいている様子>

3. 今後の展開

本実証およびこれまでに実施した医薬品輸送検証を通じて把握した技術面や運用面、ビジネス面の課題への対応策を引き続き検討し、ドローンによる医療物資輸送サービスに必要な安全運航体制やビジネスモデルの確立を目指します。
また、2024年度には都心部でのレベル4飛行を見据えた長期的なドローンのサービス実証を行う予定です。将来的には、ドローンを活用したまちづくりの実現に向け、物流をはじめとする多様なサービスの展開を目指し、実証を進めていきます。

(参考)

■ドローン物流の社会実装に向けたこれまでの取り組み

<2021年度>

都内で初めて、有人地帯におけるドローンのフードデリバリーや医薬品配送を実施し、より実生活に近い運用性・ビジネス性を検証しました。

<2022年度>

ドローンの遠隔自律飛行による医療物資輸送を1カ月間実施し、安全性を検証したほか、小学校でドローン教室を実施するなど、地域住民の認知度・理解度向上にも取り組みました。

<2023年度>

日本で初めて(該当項目へジャンプします注2)医薬品をドローンのレベル4飛行で輸送する実証を行いました。1日限りではなく1週間の運用を行うことで、実運用に向けた技術面や制度面および運用面の課題を抽出しました。

■KDDIスマートドローン株式会社について

KDDIスマートドローンは、4G LTEなどのモバイル通信を用いてドローンを制御することで、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。ドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・物流・監視・農業・測量などのさまざまな分野におけるお客さまのニーズに即した機動的なサービスの提供に取り組んでいます。

■日本航空株式会社のエアモビリティ事業について

航空運送事業で培ってきた知見と技術を活かして、ドローンや空飛ぶクルマに代表される次世代エアモビリティが日本のさまざまな地域で活用される社会の実現を目指しています。これまで日本各地の実証・調査に積極的に参画し、事業化に向けた取り組みを着実に進めてきました。2023年度には奄美群島にてドローン事業を開始します。また、2023年11月にはKDDIスマートドローン株式会社と資本業務提携を締結しました。目視外の遠隔自律飛行をはじめとする高度なドローン活用の実現と利用拡大に共同で取り組み、ドローンの社会実装を加速していきます。

■JR東日本「TAKANAWA GATEWAY CITY」について

JR東日本は、「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちづくりを推進しています。江戸の玄関口としての役割を担った歴史的背景および国内初の鉄道が走った地におけるイノベーションの記憶を継承し、開発コンセプトに「Global Gateway」を掲げ、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」として新たなビジネス・文化が生まれ続ける街を目指しています。
複合棟Ⅰおよび高輪ゲートウェイ駅周辺エリアを2024年度末(2025年3月)に開業し、その他の棟(複合棟Ⅱ・文化創造棟・住宅棟)および各棟周辺エリアを2025年度中に開業します。
この街では、街の中のさまざまなシーンにおけるドローンの実装を目指し、さらなる実証を進めてまいります。

■株式会社ウェザーニューズについて

ウェザーニューズは、1970年の海難事故を経験した創業者の「船乗りの命を守りたい」という熱い想いがきっかけとなり生まれました。以来、気象情報を本当に必要とする人々のもとに対応策となる情報として伝えることに挑戦してまいりました。海から始まった気象サービスの市場は、空・陸へと広がり、「いざというときに人の役に立ちたい」を合い言葉に、現在、世界約50カ国のお客さまへ、24時間365日、リスクコミュニケーションサービスを行っています。ドローンの安全運航に気象情報は欠かせません。ウェザーニューズ航空気象事業部では38年間、エアラインやヘリコプター等有人航空機に対する気象や動態情報支援のノウハウを活かし、安全運航を支援します。

■株式会社メディセオについて

メディセオは、「医療と健康、美」を事業フィールドとするメディパルグループの一員として国民の健やかな暮らしを支えています。少子高齢化が進む日本において、国民の健やかな暮らしに対するニーズはますます高まってきております。このような環境の中、私たちは「医療と健康、美」の流通を安定的に支える社会インフラ企業として商品をつくる方々の思いと、必要な商品を待ち望む方々の思いを、的確に効率良く結ぶ役割を担っております。さらに、サプライチェーン全体の最適化をめざすために、無駄がなく、顧客にとって満足度が高く、有事にも強い物流を追求し具現化する一方で、社会的価値の高い事業を新たに開発・育成するなどさまざまなイノベーションに取り組んでおります。
いつの時代においても、社会や顧客のご期待にお応えできる、安全で安定した価値ある流通をご提供する卸として「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」の経営理念に沿ってさらなる進化の歩みを進めてまいります。


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