2021年8月30日
KDDIは、AI (人工知能) を活用したお客さま体験価値のさらなる向上や社会の持続的発展に貢献するため、KDDI総合研究所の協力の下、「KDDI Accelerate 5.0」(注1) (以下 本構想) の一環として、「KDDIグループAI開発・利活用原則」(以下 本原則) を2021年8月30日に策定しました。KDDIグループは本原則に基づき、お客さまに安心してサービスをご利用いただけるよう、AIの研究開発、利活用を推進していきます。
<本構想におけるAIの位置づけ>
AIの開発・利活用にあたっては、日本をはじめ多くの国・地域でAIに関する原則・指針などが策定され、さらにOECD (注2)、G20 (注3) で共有がされており、AIにおける雇用の喪失やプライバシーの侵害と言った倫理面などの課題解決に向けた議論が国際的に活発化しています。また、これらの議論を踏まえ、AIを開発・利活用する企業でも、各企業の特性に合わせた実効性のある体制・ルール作りが必要です。
KDDIグループでは、これまでもお客さまに安心してKDDIグループのサービスをご利用いただくため、AIにおいて重要な役割を持つデータの取り扱いに対し、「データ利用における基本指針」(注4) を策定し、データの適切な活用を推進してきました。
また、2020年8月、KDDIとKDDI総合研究所は、生活者の新たなライフスタイルの確立と経済発展および社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造を目指す本構想を策定しました。本構想では「信頼できるAI」の重要性に言及し、関連する技術の開発に取り組んでいます。
本原則は、KDDIグループの企業活動がAIの開発者および利用者の両方になりうることを踏まえ、開発者・利用者双方の視点の原則を整理し、策定しました。本原則に基づいて、AIを、人間の尊厳と個人の自律を尊重して安心して使えるようにしていくこと、お客さまや社会のみなさまが安心できる形で利活用していくことに取り組み、「信頼できるAI」の実現に貢献します。
KDDIグループは、本原則をKDDIグループ内で浸透・徹底するために、啓発活動や規程の作成などに取り組みます。
また、KDDIでは、お客さまのプライバシーに関わる事項 (以下 本事項) については特に配慮が必要と考え、潜在的なプライバシーポリシーの課題を評価し、事前にリスクへの対応を行うプライバシー影響評価 (PIA) (注5) の仕組みを導入し、適切なAIの開発・利活用が行われているのかを、サービス提供の前に確認する体制を整備します。加えて、外部の有識者からも意見を聴取し、適切な運用に努めていきます。
KDDIグループは、今後も適切なAI開発・利活用の実践を通じ、お客さま体験価値の向上や社会の持続的発展に貢献していきます。
KDDIグループは、AIシステム・AIサービス (以下 AIシステムなど) を開発する者 (以下 AI開発者) となる際、利用する者 (以下 AI利用者) となる際、並びにAI用のデータを提供する者 (以下 AIデータ提供者) となる際には、以下の原則を遵守するものとします。
1 | 人間の尊厳 | AI開発者並びにAI利用者は、AIシステムなどの開発・利活用において、人間の尊厳と個人の自律を尊重する。 |
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2 | 適正な利用 | ・AI利用者は、人間とAIシステムなどとの間およびAI利用者間における適切な役割分担のもと、適正な範囲及び方法でAIシステムなどを利用するよう努める。 ・AI開発者は、AIシステムなどがAI利用者を支援し、AI利用者に選択の機会を適切に提供することが可能となるよう配慮する。 ・AI利用者並びにAIデータ提供者は、AIシステムなどの学習などに用いるデータの質に留意する。 |
3 | 制御可能性、 人間の判断の介在 |
・AI開発者は、AIシステムなどの制御可能性に留意する。 ・AI利用者は、AIによりなされた判断について、必要かつ可能な場合には、その判断を用いるか否か、あるいは、どのように用いるかなどに関し、人間の判断を介在させることが期待される。 |
4 | 安全性とセキュリティ | ・AI開発者並びにAI利用者は、AIシステムなどの利活用により、AI利用者および第三者の生命・身体・財産に危害を及ぼすことがないよう配慮する。 ・AI開発者、AI利用者、並びにAIデータ提供者は、AIシステムなどのセキュリティに留意する。 |
5 | プライバシー | AI開発者、AI利用者、並びにAIデータ提供者は、AIシステムなどの利活用において、他者または自己のプライバシーが侵害されないよう配慮する。 |
6 | 公平性・非差別 | AI開発者、AI利用者、並びにAIデータ提供者は、AIシステムなどの判断にバイアスが含まれる可能性があることに留意し、また、AIシステムなどの判断によって個人が不当に差別されないよう配慮する。 |
7 | 透明性 | AI開発者並びにAI利用者は、AIシステムなどの入出力などの検証可能性および判断結果の説明可能性に留意する。 |
8 | アカウンタビリティ | AI開発者並びにAI利用者は、ステークホルダに対しアカウンタビリティを果たすよう努める。 |
9 | 連携 | AI開発者、AI利用者、並びにAIデータ提供者は、AIシステムなど間の連携、およびAIシステムなどがネットワーク化すること、によってリスクが惹起・増幅される可能性があることに留意する。 |
なお本原則は、AIシステムなどの技術革新や国際的な動向を踏まえて、不断に見直し、必要に応じて柔軟に改定します。