2021年3月16日
国立大学法人三重大学 大学院生物資源学研究科 (所在地: 三重県津市、研究科長: 奥村 克純)、独立行政法人国立高等専門学校機構 鳥羽商船高等専門学校 (所在地: 三重県鳥羽市、校長: 林 祐司)、三重県 水産研究所 (所在地: 三重県志摩市、所長: 山田 浩且)、鳥羽市 (所在地: 三重県鳥羽市、市長: 中村 欣一郎)、KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 高橋 誠)、株式会社KDDI総合研究所 (本社: 埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長: 中村 元) は、三重県内の5GやIoTなど先端技術を活用した水産業のデジタルトランスフォーメーション「海洋DX」の積極的な展開を目指し連携協定 (以下 本協定) を2021年3月16日に締結しました。
現在の水産業現場では、生産技術に関して生産者の経験や勘への依存度が高く、また環境変化による不安定な漁獲・生産量や、厳しい労働環境もあいまって漁業就業者の減少と高齢化が進んでいます。
本協定で6者は、三重県における水産現場の課題解決に対し、三重県内の漁場や養殖現場でIoTを活用した海況観測器によるデータ取得や、海の磯焼けによる藻場の減少・生態変化について、「空中・水中ドローン」による撮影映像を用いた解析などの海洋DXを実施します。
今後、6者は本協定に基づき、産学官の連携による最新技術の情報共有や共同研究、フィールド試験などを通じてスマート水産業を促進し、安定した漁獲や生産に向けた仕組みの構築を進めます。さらに、若者の都市部集中など社会的な課題に対し、本協定による地元企業の支援による地域活性化を目指します。
<本協定概念図>
三重大学大学院生物資源学研究科は、水産資源の減少や生産効率の低さなど水産業が抱える課題の解決に貢献するため、IoTやAIなどの先端技術を漁業生産現場に導入し、水産業のスマート化を推進するための研究開発を行うとともに、それら先端技術を活用するための人材育成を進めています。
三重県における主要な産業のひとつは水産業であり、鳥羽商船高専ではICT・IoTなどを利用した既存産業の活性化に向けた新たな戦略を進めています。特に技術開発人材の供給基盤を地域に置き、地域と連携し、地域の発展に貢献します。そのために正規科目として地域連携PBL (課題解決学習) を1年生から配置し、課題解決力や創造力を育み、地域貢献や新産業で活躍できる人材を育成しています。
三重県水産研究所は、本県水産業の競争力強化の加速化を図り、人口減少下においても、力強い水産業の実現を図るため、AI・ICTなどの先端技術やデータを駆使し、生産性を飛躍的に向上させる水産業のスマート化推進に係る技術開発研究に取り組んでいます。
鳥羽市は、全国でも稀な公設水産研究所を持ち、藻類養殖種苗の生産と試験研究や、地域漁業者への生産普及活動、海洋環境調査などに取り組んでいます。今後は、「鳥羽の海」が持つ強みを最大限に発揮し、持続可能な地域水産業の振興につなげていくため、大学や研究機関をはじめとしたさまざまな主体と連携し、鳥羽市水産研究所を地域密着型水産振興拠点として発展させます。
KDDIは、全国各地の自治体や地域企業、地元学術機関などと連携しながら、ICTやIoTを活用した、漁業をはじめとする第一次産業の作業効率化や事業開発の取り組みを進めています。2017年以降、福井県小浜市や、長崎県五島市、徳島県海陽町における水産現場でのIoT実証事業など、通信技術を基盤としたスマート水産業の確立に向けての取り組みを、地域や対象を広げて推進中です。
KDDI総合研究所は、水産業に関連する取り組みとして、スマートブイや水上ドローンなどの機器、機器を活用した海洋環境データの収集と分析の研究開発を進めています。2016年からは宮城県東松島市にて、さらに、2019年からは三重県尾鷲市や同県熊野市にて実証実験を積み重ね、海洋環境のモニタリングや漁獲量予測など、水産業のDX推進に向けて取り組んでいます。
2020年11月17日 ニュースリリース
鳥羽商船高等専門学校、KDDI、KDDI総合研究所、地域DX推進と人財育成を目的とした連携に関する協定を締結