「豊岡市スマート農業プロジェクト」を開始!

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~国内初、セルラーLPWAに対応した水位センサーによる水田管理省力化実証事業を開始~

  • 兵庫県豊岡市
  • KDDI株式会社

2018年5月31日

兵庫県豊岡市 (市長: 中貝 宗治、以下 豊岡市) とKDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 高橋 誠、以下 KDDI) は、ICTなどを活用して省力・高品質生産を実現する「豊岡市スマート農業プロジェクト」を開始し、その第一弾として、2018年5月31日より、IoTを活用して「コウノトリ育む農法 (無農薬)」の水田管理省力化を目指す実証事業を始めます。

水田管理省力化実証事業イメージ

豊岡市で取り組んでいる「コウノトリ育む農法 (無農薬栽培)」は、田植えから中干しまで、雑草対策として通常よりも深く水を張る深水管理 (該当項目へジャンプします注1) を行う必要があります。
また、農薬を使用しない代わりに、害虫を食べてくれるカエルやヤゴを増やすため、通常よりも長い期間水を張る必要があります。
このように、コウノトリ育む農法は、通常よりも小まめな水管理を長い期間行うため、見回りに労力がかかります。特に、大規模農家は水田が広範囲に及ぶため、見回りに半日かかることもあり、水管理の省力化が課題となっています。

このたびの実証事業は、豊岡市の農家が管理する水田に通信回線を利用した水位センサーを設置することで、農家の方はスマートフォンなどで水位を確認できるようになり、見回り回数の削減や見回り時間の短縮による省力化とコスト削減を図ることができます。また、水位データに異常値が確認できた時は自動でメール通知する仕組みを備えています。
水位センサーは、セルラーLPWA (該当項目へジャンプします注2) の規格「LTE-M」に対応しています。省電力特性を活かして電源の確保の心配や電池交換の頻度を減らすことができるため、設置や運用のハードルを下げることが可能なほか、携帯電話回線を活用することで、ゲートウェイ (親機) を設置することなく、幅広いエリアにおいて機器の設置が可能になります。
なお、セルラーLPWAを利用した水田の水位監視は国内初 (該当項目へジャンプします注3) の取り組みとなります。

「豊岡市スマート農業プロジェクト」は、今後もICTを活用して、農家の勘と経験を「見える化」し、それらのデータから気候や土質の違いなど地域の状況に応じた営農指導へ利活用する取り組みや、生育のむらを解消して収量の向上および品質の安定化を図る取り組みについて引き続き検討を進めていきます。
豊岡市とKDDIは、2016年9月に地域活性化を目的とした包括協定を締結しており、今後も、観光振興やICTを活用した産業振興など、地域課題の解決を図るための包括的な取り組みを進めていきます。

新規ウィンドウが開きます豊岡市とKDDIとの地域活性化を目的とした包括協定締結について

新規ウィンドウが開きますKDDIの地域連携の取り組み
~地域に寄り添いながらともに未来を描ける、新しい価値体験を創造していきます~

実証事業の背景と目的、コウノトリ育む農法の状況は別紙をご参照ください。


<別紙>

1. 実証事業の背景と目的

豊岡市とKDDIは、2016年9月に「地域活性化を目的とした包括協定」を締結しました。ビックデータを活用した観光活性化についての取り組みのほか、ICTを活用した産業振興施策など、地域課題の解決を図るための包括的な取り組みについて検討を進めており、2017年度より農家所得向上を図るための施策について検討を重ねてきました。
農家との意見交換を行う中で、コウノトリ育む農法 (無農薬) の水田管理省力化を望む声が多いことから、このたびの実証事業に取り組むに至りました。

2.「コウノトリ育む農法」の取り組み状況

かつて、日本の空で暮らしていた国の特別天然記念物であるコウノトリは、昭和46年 (1971年) 豊岡を最後に日本の空から姿を消しました。豊岡市は昭和40年 (1965年) から人工飼育に取り組み、平成17年 (2005年) 初の放鳥に成功し、現在100羽を超えるコウノトリが豊岡を中心に、日本の空を悠然と舞っています。しかし、コウノトリが野外で生きていくためには里山や田んぼ、川や水路に多様な生きものがたくさんいる「自然環境」が必要です。
そのために考えられたのが、農薬や化学肥料に頼らず、早期湛水・深水管理 (田植えの約1か月前から水を張ったり、通常よりも深く水を張ること) やオタマジャクシがカエルへと変態するまで中干しを延期して生き物を育む「コウノトリ育む農法」です。
平成15年度 (2003年度)、わずか0.7haの面積から始まったこの農法は、平成29年度 (2017年度) には407haまで拡大しています。

コウノトリ育む農法取り組み面積の推移 (出典: 豊岡市)

  • 注1)
    通常よりも深く水を張る (約8cm以上) ことにより、酸欠によるヒエ対策と、コナギの生長停滞を図る管理法。
  • 注2)
    携帯電話網を活用した、省電力かつ広域なエリアカバレッジを実現するIoT向け通信技術。
  • 注3)
    2018年5月31日時点。KDDI調べ。

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