2024年3月18日
東京大学松尾研究室発、大規模言語モデル(LLM)の社会実装を進める株式会社ELYZA(本社:東京都文京区、代表取締役CEO:曽根岡 侑也、以下 ELYZA)とKDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠、以下 KDDI)、KDDI Digital Divergence Holdings株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤井 彰人、以下 KDDI Digital Divergence)は2024年3月18日、資本業務提携(以下 本提携)を締結しました。
2024年4月1日を目途に、KDDIは43.4%、KDDI Digital Divergenceは10.0%のELYZAの株式を保有し、ELYZAはKDDIの連結子会社となります。
ELYZAはKDDIグループの支援を受けながら、将来的なスイングバイIPO(注1)を目指します。
ELYZAは、AI研究の第一人者である東京大学・松尾豊教授の研究室のメンバーが立ち上げたAI企業で、国内においてLLMの研究開発および社会実装を牽引する存在です。2024年3月12日には、日本語の性能がグローバルモデルに匹敵する、国内最高水準の700億パラメータのLLMを開発しました(注2)。
本提携により3社は、ELYZAの持つ国内トップクラスのLLMの研究開発力とKDDIグループの計算基盤、ネットワーク資源などのアセットを組み合わせ、生成AIの社会実装を加速させていきます。
また、生成AIの利用や社会実装を加速するための人財組織を共同で設置し、2024年春から順次、生成AI関連のサービス提供を企業や自治体向けに進めていきます。
具体的なサービスとしては、(1)オープンモデル活用型の日本語汎用LLM開発、(2)領域特化型のLLM開発、(3)生成AIを活用したDX支援・AI SaaSの提供の3つを予定しています。
<ELYZA・KDDIグループの取り組み>
領域特化型のLLMにおいては、KDDIの関連会社でありデジタルBPO(注3)事業を展開するアルティウスリンク株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:網野 孝)と連携し、コンタクトセンター特化型LLM開発・実装も視野に入れ、企業・自治体のコンタクトセンターのお客さま対応業務のDXを推進します。今後、さらに金融・小売をはじめとしたほかの特定領域においても順次サービスを展開していく予定です。
詳細は別紙をご参照ください。
昨今、少子高齢化による人手不足が加速する中、生産性向上は喫緊の課題となっています。また、事業環境の変化に対しデジタル技術を活用したビジネスモデルの変革が求められています。
生成AI活用による業務効率化や生産性向上の実現が期待される一方、グローバルモデルの利用だけでは、本格的な課題解決に至らないケースも出てきており、日本語に最適化された汎用LLMや、業界や領域さらには個社に特化・カスタマイズしたLLMによる、課題の解決が求められてきています。
さらに、LLMを実証実験(PoC)フェーズで終わらせないために、生成AIを現場に導入し運用するための支援やツールのニーズも高まっています。
このような社会背景を踏まえ、本提携を通じ生成AIの社会実装力を高めることで、企業や自治体を対象に、生成AIを用いた課題解決を促進していきます。
ELYZAは、AI研究の第一人者である東京大学・松尾豊教授の研究室のメンバーが立ち上げた、AI企業で、国内において大規模言語モデル(LLM)の研究開発および社会実装を牽引する存在です。「未踏の領域で、あたりまえを創る」という理念のもと、2019年からLLMの研究開発に投資を続けています。研究開発のみならず、企業のLLM活用や独自LLM開発の支援、AI SaaSの開発・提供を通じて、金融・人材などのさまざまな業界領域において、LLMの社会実装を推進しています。
詳細な会社概要や実績は、ウェブサイトをご参照ください。
KDDIでは生成AI活用を推進しています。社内DXでは2023年5月から、社員1万人を対象に生成AIを活用したAIチャットサービス「KDDI AI-Chat」を実業務で利用開始し、企画業務におけるリサーチやアイデア出し、クリエイティブ業務支援、文書作成支援などで活用しています。
お客さま向けのサービスとしては、2024年3月からLINEアカウント「auサポート」にて、チャットボットによるお問い合わせ対応に生成AIを活用しています。お客さまの入力内容を要約できるほか、情報が不足している場合は再質問することでチャットボットが適切な回答を特定しやすい形に誘導することで、お客さまのお問い合わせ内容の解決までにかかる時間を短縮しています。
また、KDDIは、「Open Innovation Fund 3号」(運営者:グローバルブレイン株式会社、以下KOIF3号)などを通じて、生成AIを含むAI領域へ出資し、お客さま体験価値の向上と企業・自治体へのソリューション提供を進めています。2023年11月8日から開始した「MUGENLABO 生成AI活用支援プログラム(注4)」を始めとするスタートアップ支援プログラムにおいて、社会課題の解決や企業・自治体のDXを推進しています。