2022年9月29日
KDDIは、富山県にある黒部峡谷鉄道の全区間でau通信のエリア化対策を2022年8月に完了しました。これにより、国内通信事業者で初めて、始発駅の宇奈月駅から終点の欅平駅まですべての区間でauの携帯電話が利用可能となりました。10月からの紅葉シーズンの黒部峡谷観光では、auの携帯電話で撮影した絶景をその場で家族や友人とシェアするなど、よりリアルタイムに感動を届けられます。
<黒部峡谷鉄道>
黒部峡谷鉄道は、国の特別天然記念物および特別名勝に指定されている猿飛峡や奥鐘橋がある黒部峡谷の観光などで利用され、「トロッコ電車」の愛称でも親しまれる鉄道です。沿線には、高さ60mからの絶景が楽しめる後曳橋や、黒薙温泉、鐘釣河原といった温泉地など、観光名所が多数存在しています。
黒部峡谷一帯は中部山岳国立公園に指定されており、携帯電話の基地局設置に関係省庁の許可が必要となるほか、設置機材を運搬するための自動車道路が沿線に通っていないなど、新しく基地局を設置することが難しい地域です。また、路線内には最長約1kmのトンネルを含む41のトンネルがあります。一般的なトンネルより狭く湾曲している形状のため、トンネル外からの電波が内部まで届きにくい状況にありました。
KDDIは2018年までに黒部峡谷鉄道の5駅 (注1) をエリア化し、さらに2020年11月からトンネルへの追加工事を行い、全長20.1kmの全区間にわたってエリア化対策を実施しました。
対策にあたって、直進性の高い電波を発射するアンテナをトンネルの入り口付近に設置し、電波が効率よくトンネル内部に届くようにするなど、路線内の電波の届きにくさを補う設計を行いました。また、工事車両が通れないなかでトロッコ電車の通常ダイヤ内で設置機材の運搬を行ったほか、冬季の積雪を考慮した上で基地局設備の設置場所を決定するなど、黒部峡谷鉄道の特性を踏まえた工夫を行いました。
このたび、トンネルへの追加工事が完了したことにより、トンネル内部を含めた黒部峡谷鉄道の全区間でauの携帯電話がご利用いただけるようになります。
<通信エリア対策工事の様子>
<トンネル入り口に設置したアンテナ>
KDDIは、今後もサービスエリア拡大や品質向上ならびにお客さまによりご利用いただきやすい環境の整備を進めていきます。
黒部峡谷鉄道は、日本一深い黒部峡谷を縫うように走る山岳観光鉄道です。始発の宇奈月駅から終点の欅平駅までの20.1kmを約1時間20分で走行し、新幹線の約半分の762mmと狭いナローゲージと呼ばれる線路幅が特徴です。ナローゲージを持つ鉄道会社は、日本で現在3社 (注2) のみです。
黒部峡谷鉄道の歴史は古く、黒部川の電源開発とともに開発されました。大正12年に敷設工事が開始され、昭和12年に欅平駅までの20.1kmが開通し、現在の路線の原型となっています。
例年、10月下旬から11月中旬までの期間は、赤・黄・緑に彩られた紅葉と、黒部川のエメラルドグリーンのコントラストをお楽しみいただけます。
<黒部峡谷鉄道の路線図>
利用者の安全と快適のために 富山県の秘境・黒部峡谷にKDDIが電波を届けた舞台裏