医療業界のDX、5G SAとMECによる遠隔医療実証を実施

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  • リバーフィールド株式会社
  • KDDI株式会社
  • 株式会社ソリトンシステムズ

2022年6月6日

リバーフィールド株式会社 (本社: 東京都新宿区、代表取締役社長: 只野 耕太郎、以下 リバーフィールド)、KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI)、株式会社ソリトンシステムズ (本社: 東京都新宿区、代表取締役社長: 鎌田 信夫、以下 ソリトンシステムズ) は2022年5月31日、医療業界のDXに向け、5Gスタンドアローン (該当項目へジャンプします注1) (以下 5G SA) とMEC (AWS Wavelength (該当項目へジャンプします注2)) 環境を活用した遠隔医療の実証実験 (以下 本実証) を実施しました。

本実証では、以下2点を実施しました。

1. 手術支援ロボットの操作の様子を複数のモニターへ映像伝送、遠隔指導を実施

KDDI DIGITAL GATE (該当項目へジャンプします注3) の5G SA環境から接続したMEC上の映像中継サーバで映像信号を分岐することで、複数のモニターへの低遅延映像伝送を実現しました。遠隔でリアルタイムに手術指導が可能なことを確認しました。

2. 5G SAとMECを経由した手術支援ロボットの操作を実施

5G SA環境とMECを経由し、熟練医が手術支援ロボットを操作しました。

本実証実験の結果を踏まえ、無線ネットワークにおいて、医師の遠隔指導や手術支援ロボットの遠隔操作をスムーズかつ安定的に行うための技術的な課題を洗い出し、医療業界のDXを目指していきます。

本実証の構成

<本実証の構成>

■背景

  • 医療業界では、超高齢化社会により医師不足が課題に挙げられています。特に外科医育成においては、手術現場で熟練医から最新の手術方式などの指導を受ける必要がありますが、熟練医が都心に集まっているため地方の外科医育成が課題です。熟練医の少ない地域の外科医育成を可能とする手段として、手術支援ロボットの遠隔操作による指導が期待されています。
  • 手術支援ロボットの遠隔操作で求められる水準の高精細映像の低遅延伝送は、LANなどの有線ネットワークによる執刀医とロボットの1:1の通信に限定され、執刀医にアドバイスを行う熟練医や、手術の様子を見たい研修医などに映像を同時配信することが困難でした。
  • 複数拠点へのリアルタイムな映像伝送を可能とする手段として、5G SA環境とMECが期待されています。

■本実証について

1. 概要

  • 5G SA環境において、MEC上の映像中継サーバで映像信号を分岐することで、複数のモニターへの低遅延映像伝送を実現しました。これにより、執刀医だけでなく、別室・別拠点にいる熟練医や研修医などへ映像を同時配信することが可能なことを確認しました。
  • ソリトンシステムズの伝送装置と、KDDIの5G SA環境およびMECを組み合わせて低遅延映像伝送を実現しました。これにより、有線ネットワークと同水準の高精細な映像を無線ネットワークで伝送可能であることを確認しました。5G SAのエリアが広がることにより、場所にとらわれない指導が可能になります。

2. 特徴

(1) 低遅延伝送 (映像・制御信号)
KDDI DIGITAL GATEでの検証では、ロボット遠隔操作に必要な映像信号・制御信号の伝送に5G SA環境とソリトンシステムズの低遅延プロトコルを実現する伝送装置 (Zao-X) を組み合わせ、低遅延映像伝送を実現しました。

(2) ネットワークスライシングによる安定通信
5G SAの特徴であるネットワークスライシングの機能を活用し、同じネットワークで提供される他サービスの影響を受けにくい安定した通信を実現しました。

(3) MECを用いた複数拠点への映像伝送
MEC上の映像中継サーバにて映像信号を分岐することで、複数拠点への低遅延映像伝送を実現しました。

<5G SAとMECによるロボット操作と複数モニターへの低遅延映像伝送の様子>

本実証実験に参加した、弘前大学 大学院医学研究科 医師 諸橋 一氏は以下のように述べています。
「遠隔手術においては、映像および機器制御信号に関する伝送遅延が課題になります。今回、初めて5G SAネットワーク、MEC経由での遠隔操作を行い、以前に有線ネットワーク経由で実施した際と同等の操作感を得ることができました。また今回は、手術の技術指導も実施することができ、医師の教育においての活用の可能性も含め、今後、安定性、信頼性の向上など種々の技術革新により、実用化に向けた検討が進むことを期待しています。」

3社は今後も、無線ネットワークを利用した際の技術的な課題を洗い出し、今後の研究開発に向けた各種データを収集することで、医療業界のDXに貢献します。

なお、リバーフィールドの手術支援ロボットは、2022年6月7日から6月11日に虎ノ門ヒルズで開催される国際学会「CARS 2022」(Computer Assisted Radiology and Surgery) で展示を行います。

■各社の役割

  • リバーフィールド
    : 手術支援ロボットの開発および提供
  • KDDI
    : 5G SA環境の構築および提供 (MECへの接続含む)
  • ソリトンシステムズ
    : 低遅延伝送プロトコル (映像および制御信号)、映像中継サーバの構築および提供
  • 注1)
    5G基地局と5G専用のコア設備 (5GC) を組み合わせ、5G技術だけで通信を可能としたシステム。
    ネットワークスライシングや、お客さまの近くに配置されたサーバでデータ処理を行い低遅延な通信を提供するマルチアクセスエッジコンピューティング (MEC) などの新たな機能の提供が可能。
  • 注2)
    「AWS Wavelength」は、アマゾン ウェブ サービス (AWS) のコンピューティングサービスとストレージサービスをau 5Gをはじめとする5Gネットワークのエッジに組み込むことで、機械学習、モノのインターネット (IoT)、動画やゲームのストリーミング配信など、超低遅延が求められるエッジコンピューティングの活用を支援するサービス。
  • 注3)
    KDDIが2018年9月にオープンしたIoT、5G時代のデジタル開発拠点。
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  • AWS Wavelengthは、米国およびその他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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