ロボットの遠隔操作に5G通信品質が与える影響を検証

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~ロボットの安定稼働で労働力人口減の課題を解決~

  • 福島県ハイテクプラザ
  • KDDI株式会社

2022年6月6日

福島県ハイテクプラザ (本部: 福島県郡山市、所長: 大和田野 芳郎) とKDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI) は2022年6月下旬から、混雑時や電波が届きづらい場所での5G通信品質がロボット遠隔制御にどのような影響を与えるか検証する実証実験 (以下 本実証) を行います。本実証にあたり、福島県ハイテクプラザとKDDIは、2022年6月2日に共同研究契約を締結しました。

現在、インフラやビルメンテナンスの定期点検・モニタリングは、目視および聴覚により行われています。しかし少子高齢化による労働人口の減少から、点検の効率化が喫緊の課題です。またビルなどの老朽化のため、予防保全・予知保全による維持管理の重要性も増し、ロボットの活用が望まれています。
将来、ロボットが社会でさまざまな役割を果たすには、AI処理を行うクラウド側のコンピューターや他のIoTデバイスとの通信が不可欠となります。そのため、混雑時の繁華街や電波が届きづらい山間部などさまざまな通信品質におけるロボット動作の評価を行い、安定稼働できる仕組みづくりが必要となります。

本実証は、さまざまな5Gの通信品質を疑似的に作り出す5Gエミュレーターを活用し、福島県ハイテクプラザの拠点 (福島県郡山市) にて実施します。
本実証の結果を受け、福島県ハイテクプラザでは、2024年頃までに、インフラ・ビルメンテナンスの指定点検箇所に自律的にアプローチ可能で、各種センサーによる外観検査および異音検出をする点検ロボットの開発を目指しています。

本実証のイメージ

<本実証のイメージ>

KDDIは、本実証を通じてロボットに通信が溶け込み、ロボットがさまざまな役割を果たし、ロボットと共に暮らせる社会を目指します。
なお、本実証はKDDIが推進するロボット工房 (該当項目へジャンプします注1) の取り組みの一環として実施します。

福島県ハイテクプラザとKDDIは、今後も地域のイノベーション推進に関する事業や関連する業務の実行に向けて連携・協力し、地域企業の技術革新とDX推進を加速していきます。

■本実証の概要

福島県ハイテクプラザが保有する自律走行ロボットには、外観検査する対象物を3次元点群で再構成する単眼カメラ、それに寸法を与えるミリ波レーダー、異音の方向を判断するマイクロフォンアレーなどのセンサーを搭載しています。自律走行用のセンサーを含む各センサー群のデータを5Gでリアルタイムに遠隔制御部へ送信し、データ処理を行います。本実証では、さまざまな5Gの模擬通信品質下で、帯域や遅延の変化によるロボットからのデータの送受信量や送受信タイミングの変動が、どのようにロボットの挙動や動作などへ影響を及ぼすのかを確認します。
福島県ハイテクプラザは、遠隔制御部や各センサーから送信するデータ量および送信タイミングの適性値を研究していきます。
KDDIは、ロボットの遠隔制御に適切な5Gネットワークの通信制御の方式や通信帯域の適性値などを見極め、ロボット向けの通信技術を確立するための知見として活用していきます。

  • <自律走行ロボット>

  • <ミリ波レーダーおよび単眼カメラ>

  • <マイクロフォンアレー>

本実証では、実測したデータをもとに、さまざまな通信環境を模擬できる5Gエミュレーターを用います。福島県ハイテクプラザの拠点で、繁華街の混雑時や山間部の電波が届きづらいエリアなどのさまざまな場所・条件の通信環境を再現し、5Gを用いたロボット遠隔制御の定量的な評価が可能となります。

■各社の役割

  • ・福島県ハイテクプラザ
    : 遠隔制御ロボットシステムの提供、ロボット遠隔操作時の影響評価
  • ・KDDI
    : 5Gエミュレーターの提供、5Gエミュレーター用データの実測

(参考)

■福島県とKDDIの取り組みについて

福島県とKDDIは、2017年に地域のさまざまな課題に迅速かつ適切に対応し、東日本大震災からの復興及び地域の活性化を図ることを目的とした包括的連携協定を締結しました (該当項目へジャンプします注2)。本実証は、その一環として実施しています。


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