2021年8月19日
国立大学法人東京大学 (所在地: 東京都文京区、総長: 藤井 輝夫、以下 東京大学)、株式会社経営共創基盤 (本社: 東京都千代田区、代表取締役CEO: 村岡 隆史、以下 IGPI)、KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 高橋 誠、以下 KDDI)、株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ (本社: 東京都文京区、代表取締役社長: 郷治 友孝、以下 UTEC)、株式会社松尾研究所 (本社: 東京都文京区、代表取締役CEO: 川上 登福、以下 松尾研究所) の5者は、起業家創出の加速に向け、新たな技術や発想のもとで新規事業などを通じた社会的価値の持続的創出に挑戦する姿勢 (アントレプレナーシップ) の醸成を目的として、「アントレプレナーシップ教育デザイン寄付講座」(以下 本講座) を設立し、初回の講座を2021年10月7日から開始します。
なお、本講座は、東京大学工学部・工学系研究科内で開設します。
<講座の全体像>
近年、日本の製造業における国際競争力の低下が懸念されているなか、ものづくり系ベンチャー企業が少ないことが日本産業の課題と言われています。また、これまで東京大学からは約400社のベンチャー企業が生まれていますが、ITアプリケーション・ソフトウエア、バイオヘルスケア領域などに偏っており、事業化に時間のかかるものづくり領域 (ITハードウエア、環境・エネルギー、化学・素材) における起業は少ない状況です。これは、日本の産業における課題感とも一致します。
5者は、課題解決に向け本講座を通じ下記3点を目指します。
将来のパートナーとなり得る事業会社との関わりや、経営に必要な知見のインプットを通じ、学生の起業意欲を醸成します。IPOやM&Aを見据えた実践的なアントレプレナーシップを習得することで、起業の増加を図ります。
起業家などによる講義と、学生と事業会社社員がチームとなって課題に取り組むフィールドワークの複合型で進行する新しい教育フォーマットを構築します。
将来的に、他大学にも本教育フォーマットを展開することで、企業・大学・公的機関などがネットワークを作りスタートアップを生み出しながら発展していく、スタートアップエコシステムの創造に寄与します。
本講座は、寄付企業 (IGPI、KDDI、UTEC、松尾研究所) や著名起業家などによる講義と、複数の事業会社 (ダイキン工業、日本たばこ産業、サントリーなど) の社員を交えたフィールドワークの複合型で進行します。事業会社の課題に対して、学生と事業会社社員が一体となって取り組む実践的な学習が特徴です。
フィールドワークでは、寄付企業・事業会社社員がメンターとして学生チームに加わり、寄付企業・事業会社の事業責任者との相談機会や事業アセットを提供しながら、共同で新規事業案を検討します。最終講義では、疑似的に業務提携やM&Aを目指し、事業会社役員へ向けて新規事業案を発表する機会を設けます。事業会社との密接な関わりを通じて、学生はIPOやM&Aを見据えた実践的なアントレプレナーシップを習得できます。
さらに、本講座の一部はオンライン配信され、東京大学以外の大学生や社会人も受講することが可能です。
今後5者は、学生と寄付企業・事業会社がフィールドワークを通じて密接に関わり合う実践的な本講座の教育フォーマットが、日本における起業家育成教育の標準となることを目指します。全国の他大学においても、地域の事業者の協力を得て同様の起業家育成講座を開設できるよう支援することで、未来の起業家や国内事業会社によるM&A件数の増加に結び付き、ひいては日本の産業全体の国際競争力向上に貢献することを目指します。
東京大学 | 東京大学におけるシームレスなアントレプレナーシップ教育のグランドデザインに関する研究、学内におけるアントレプレナーシップ関連の講義群との連携 |
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IGPI | 経営者に求められる事業・財務・経営の視点からの事業立ち上げ、資金調達や収益化・事業経済性の考え方に関する知見の提供 |
KDDI | 技術シーズと社会ニーズを掛け合わせた新規事業開発に関する知見の提供 KDDI∞Laboネットワークを活用した、事業会社とのフィールドワーク機会の提供 |
UTEC | ものづくり、環境・エネルギー系のビジネスモデルや、グローバルで成功しているスタートアップに関する知見の提供 |
松尾研究所 | スタートアップの事業構想~会社設立~立ち上げ初期における実態に関する知見の提供 |
本講座の詳細は別紙をご参照ください。
2021年度から2023年度 (3年間)
なお、フィールドワークに参加する事業会社は今後拡大する予定です。
2022年4月には東京大学学部1・2年生向けに開講を予定しています (春学期: S1S2セメスター)。