2019年3月19日
積水ハウス株式会社 (代表取締役社長: 仲井 嘉浩、以下 積水ハウス)、KDDI株式会社 (代表取締役社長: 高橋 誠、以下 KDDI) および株式会社日立製作所 (執行役社長兼CEO: 東原 敏昭、以下 日立) は、このたび、企業が持つ独自情報を安全性の高い環境で共有し、異業種データの掛け合わせによる新サービスの創出を実現する企業間情報連携基盤の実現に向け、協創を開始します。
■取り組みの第一弾として、不動産賃貸物件の内覧から入居までに生じる入居者の各種手続きを簡略化し、利便性を向上する共同検証を3社にて2019年4月から開始
■将来的には、企業間情報連携基盤の商用化をめざして協創を進め、広く参加企業、団体も募ってエコシステムを形成し、異業種データの掛け合わせによる新たなサービスの創出をめざす
<協創における各社の役割>
日本政府が提唱する「超スマート社会 (注1)」の実現策 (Society 5.0 (注2)) では、デジタル技術やデータを活用した、新たなユーザーメリットの創出や利便性の向上をめざしており、企業間で情報を連携し、異業種データの相互補完やサービスの連携を実現する基盤の整備が求められています。異業種間の情報共有においては、特定の企業が一括して情報を管理するのではなく、参加企業が公平、対等な立場で、情報を分散化して持ち合うことが必要となります。ブロックチェーンは、その改ざん耐性や高可用性 (注3) といった特性から、複数の企業で情報を安全に共有する点で適しています。
また、近年、パーソナルデータの管理においては、個人自身によるコントロールを可能にするといった考え方が広まっています。厳格な管理を必要とする契約情報を企業間で共有するには、お客さまが自ら許諾した企業のみが、個人に紐づくデータにアクセスできるようにする必要があります。
生活に関わるさまざまな手続きにおいては、身元確認を目的とした本人確認を必ず要します。引越しの場合、賃貸物件の内覧や契約手続きに始まり、固定通信や電気、ガスといったライフラインの契約や住所変更手続きなどで、サービスを提供する企業ごとに、本人確認書類の提出や書類の記入が繰り返し発生し、大きな負担となっています。
これまでに、積水ハウスはブロックチェーン技術を活用した不動産情報管理システムの構築 (注4) を、KDDIと日立はブロックチェーンと生体ID認証を用いた異業種間アライアンスの実証 (注5) を行ってきました。
今回の共同検証では、ブロックチェーン技術 (Quorum) (注6) や日立の「Lumada」(注7) を用いて企業間の中立的な情報連携基盤を構築し、積水ハウスとKDDIそれぞれが持つ本人確認情報のセキュアな連携を実現します (注8)。本人確認情報の相互補完により、賃貸物件の内覧申込みの際に、現住所や電話番号のお客さまによる入力を簡略化することができます。
また、固定通信や電気、ガスといった住宅に関わる複数契約の申込みの一括化や、住所変更など煩雑な各種手続きを簡略化するのみならず、カスタマイズされたサービスをワンストップで提供する一連の流れを検討するなど、ビジネスモデルやサービス性についても検証します。
今後、積水ハウス、KDDI、日立は、共同検証の成果をもとに、金融分野や自治体分野など広く参加企業、団体を募ってコンソーシアムを形成し、お客さまおよび企業の双方に有益なエコシステムの構築をめざします。
企業がそれぞれ保持する独自情報を、お客さま本人の同意のもとで本基盤上に持ち寄り共有することで、データの掛け合わせによる新たなユーザーメリットの創出や、一括契約や手続きが可能な業種の拡大といった利便性の向上を実現します。また、企業間情報連携基盤では、お客さま自身が直接アクセスし、参加企業ごとに開示する内容や範囲を指定する機能を実装し、必要な本人確認を最小限にとどめながらも、付加価値の高い新サービスを提供することが可能な環境を提供します。
<コンソーシアム形成による企業間情報連携基盤のイメージ>