JR西日本における「VR (仮想現実)」による災害対策ツールの概要について

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(1) JR西日本における導入目的

VR機器を活用し、地震や津波などの自然災害や、マニュアルだけでは対応が難しい緊急事態に直面した際に柔軟かつ最適な行動を取ることができる運転士・社員の育成を図る。

(2) コンテンツの構成内容

VR機器「HTC Vive」およびオリジナルVR動画コンテンツにより自然災害を疑似体験する。
1.「最適行動の演習コンテンツ」
JR西日本 紀勢線内における「想定浸水深」および「自列車の位置から最寄りの避難出口」や「高台」の位置などが、実際の地理と重ね合わせて確認することができ、訓練を行うことが可能。

  • 撮影場所: JR西日本 紀勢線 (新宮駅~串本駅区間) の路程 (予定)

「最適行動の演習コンテンツ」VR動画内イメージ

VR機器「HTC Vive」およびオリジナルVR動画コンテンツにより自然災害を疑似体験する。
2.「地震・津波発生疑似体験コンテンツ」
地震発生とそれによる津波発生という万が一の自体を、よりリアルに疑似体験することが可能。

  • 撮影場所: 紀勢線における実際の橋りょう付近

「地震・津波発生疑似体験コンテンツ」VR動画内イメージ

(3) JR西日本における導入目的

VR機器を活用し、地震や津波などの自然災害や、マニュアルだけでは対応が難しい緊急事態に直面した際に柔軟かつ最適な行動を取ることができる運転士・社員の育成を図る。

  • 紀勢線 串本駅~新宮駅間の約43kmの実際の映像をもとに、運転士の視点で360度を見渡せる
  • 訓練者は、アクセルとブレーキにあたるコントローラーを両手に持ち、列車の停止や移動が行える
  • 画面上に「標高」や「キロ程」を表示しており、数字は走行に応じて変化する。
  • 停止させた位置と連動したJR西日本オリジナルの「津波避難アプリ」をVR画面上に表示することにより、訓練者は停止地点から最寄りの出口や避難場所を確認することができる。(注1)
  • VR機器セットについて、5m四方のスペースがあれば設置可能で、持ち運び可能
  • 訓練に関するデータは、緊急地震速報鳴動地点やその際の対応などをログとして抽出でき、次回の訓練に活用できる機能も備えている。

(4) JR西日本における導入目的

  • 訓練は、指導者が訓練対象者 (主に運転士) に対して実施する。対象者の視点を表示するモニターがあり、指導者が任意の場所で緊急地震速報を鳴動させ、訓練者の行動をモニターする。

▼JR西日本運転士の訓練様子 (イメージ)

  • 訓練終了後は、訓練者の行動についてディスカッションするなど、より良い判断や行動について検証することを想定している。
  • VR装置 (本ソリューション機器) は、2017年4月下旬に新宮列車区と紀伊田辺運転区に配備予定
  • 2017年度、串本駅~新宮駅間を担当する全運転士を対象にした訓練を2回以上実施する計画

(5) JR西日本における導入目的

リアルな走行感だけでなく、万が一地震、津波が発生した場合に、運転士が避難誘導などを行う判断基準として、線路上の電柱標識などを肉眼で確認する必要があるため、VR動画素材としては、最高レベルの「9K/60fps (注2)」で撮影を行い、実装するための最適なサイズである「6K/60fps」に圧縮しています。

参考) 画質による電柱標識などの視認性比較

「6K/60fps」動画のキャプチャ画像 ※全天球における6K同等画質、左記よりも画素数を低めた場合の画像、各VRコンテンツ動画の撮影の様子

お問い合わせ先

KDDI法人営業担当者またはKDDI法人お客さまセンターまでご連絡ください。

<法人お客さまセンター>

フリーコール 0077-7007 (無料)
フリーコール 0120-921-919 (無料)

  • 受付時間
    平日: 9:00~18:00 (土・日・祝日および年末年始を除く)
  • 注1)
    「津波避難アプリ」との連動は、運用開始までに実装予定。公開しているVRデモ動画には「ハザードマップ」を表示しています。
  • 注2)
    K: コンピュータ等のディスプレイに表示される総画素数
    fps: フレームレート。動画において、単位時間あたりに処理させるフレーム数 (静止画像数、コマ数)

<参考>

<JR西日本>

JR西日本は、これまでに実施してきた対策に加えて、今回の災害対策ツールを導入することにより、さらなるお客様の安全確保に努めるとともに、引き続き、地震・津波対策についてハード面・ソフト面から取り組みを進めてまいります。

(参考) 紀勢線における津波対策これまでの主な取り組み

○ハード対策

  • 列車内への避難梯子の設置
  • 線路から国道に上がる階段の整備
  • 避難誘導標の整備
  • 避難支援アプリの導入
  • 特急「くろしお号」に津波避難用リーフレット搭載

○ソフト対策

    • 「津波避難誘導心得」の制定
    • 「紀勢本線 津波浸水地図」の策定
    • 避難ルートマップの駅頭掲示
    • 津波避難訓練の実施

など

<KDDI>

KDDIは通信事業者として、2016年3月より、VRを「スマートフォンの次のコミュニケーション手段」および企業のお客さまへの「ソリューション商材」として捉え、VRコンテンツの開発およびプラットフォームの提案を行ってきました。今後も、さまざまな業種の法人のお客さまのニーズに対し、VR機材や高品質なVRコンテンツを活用したソリューションの提供を通じ、お客さまの本業に貢献していきます。

■和歌山県内の鉄道路線と南海トラフ巨大地震の津波浸水深

(出典: 和歌山県地震被害想定調査 報告書 概要版)
pdfファイルをダウンロードしますhttp://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011400/documents/wakayama_higaisoutei_gaiyou.pdf (4.0MB)


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