2023年7月28日
KDDI株式会社
当社は、本日開催の取締役会において、以下のとおり、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下、「会社法」といいます。)第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条及び当社定款の規定に基づく自己株式の具体的な取得方法として、自己株式の公開買付け(以下、「本公開買付け」といいます。)を行うことを決議しましたので、お知らせいたします。
当社は、事業環境の変化に対応しながらありたい未来社会を実現するため、「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を掲げ、2030年には、あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在、「社会を支えるプラットフォーマー」を目指しております。
2023年3月期から2025年3月期の中期経営戦略では、2030年を見据え「5Gを中核に据えた事業変革」を推進し、持続的な利益成長と株主還元強化の両立を目指します。かかる観点から、通信ARPU収入の反転や注力領域を中心とした利益成長に加え、5G・注力領域への設備投資と戦略的事業投資を行いつつ、株主還元として、配当性向40%超という財務方針のもとで安定的な配当を継続しつつ、成長投資の状況等にも鑑みながら機動的な自己株式取得を実施する方針としております。
また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、2023年3月期には、中間配当金として1株当たり65円、期末配当金として1株当たり70円とし、年間では1株当たり135円(連結配当性向:43.5%)を実施いたしました。
加えて、当社は、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって自己の株式を取得することができる旨を定款に定めており、これまでも、株主の皆さまに対する利益還元の充実を図るため、以下のとおり、当社普通株式を取得しております。
決議日 | 累計取得期間 | 累計取得株式数(注) | 累計取得価額の総額 |
---|---|---|---|
2002年6月25日開催 定時株主総会 |
2002年7月19日~ 2002年7月31日 |
24,000株 (14,400,000株) |
9,124,040,000円 |
2003年6月24日開催 定時株主総会 |
2003年9月22日 | 1,800株 (1,080,000株) |
1,075,600,000円 |
2004年10月28日開催 取締役会 |
2004年10月29日~ 2005年2月15日 |
44,691株 (26,814,600株) |
24,180,593,000円 |
2006年9月28日開催 取締役会 |
2006年9月29日~ 2006年10月31日 |
35,000株 (21,000,000株) |
25,758,500,000円 |
2007年1月25日開催 取締役会 |
2007年1月26日~ 2007年3月23日 |
22,258株 (13,354,800株) |
19,999,835,000円 |
2010年10月22日開催 取締役会 |
2010年10月25日~ 2011年1月18日 |
208,271株 (124,962,600株) |
99,999,873,000円 |
2011年11月28日開催 取締役会 |
2011年11月29日 | 424,126株 (254,475,600株) |
220,969,646,000円 |
2016年2月9日開催 取締役会 |
2016年2月10日~ 2016年2月23日 |
16,584,700株 | 49,999,948,250円 |
2016年5月12日開催 取締役会 |
2016年5月13日~ 2016年9月13日 |
31,650,800株 | 99,999,744,600円 |
2017年5月11日開催 取締役会 |
2017年5月12日~ 2017年9月15日 |
33,526,600株 | 99,999,394,503円 |
2018年1月31日開催 取締役会 |
2018年2月1日~ 2018年3月23日 |
18,953,100株 | 49,999,824,150円 |
2018年5月10日開催 取締役会 |
2018年5月11日~ 2019年3月7日 |
55,039,300株 | 149,999,888,350円 |
2019年5月15日開催 取締役会 |
2019年5月16日~ 2019年12月23日 |
51,194,000株 | 149,999,385,150円 |
2020年10月30日開催 取締役会 |
2020年11月2日~ 2021年5月31日 |
61,259,100株 | 199,999,952,655円 |
2021年5月14日開催 取締役会 |
2021年6月1日~ 2022年5月12日 |
54,059,000株 | 199,999,874,416円 |
2022年5月13日開催 取締役会 |
2022年6月1日~ 2023年3月23日 |
47,864,700株 | 199,999,972,200円 |
当社は、継続的に自己株式の取得を実施してまいりましたが、更なる株主還元の強化を目指し、自己株式の取得価額を拡大することの検討を2023年4月上旬から5月上旬にかけて行った結果、2023年5月11日開催の取締役会において、2023年6月1日から2024年5月31日までの間に、株式総数92,000,000株及び取得価額総額3,000億円を上限とする自己株式の取得(以下、「2023年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得」といいます。)を決議いたしました。
他方で、2023年4月10日に、当社の第三位株主(2023年4月10日の直前で、当社が株主の保有状況を把握できる2023年3月末日時点)であるトヨタ自動車株式会社(以下、「トヨタ自動車」といいます。2023年3月末日時点の所有株式数316,794,400株(所有割合(注1):14.69%))より、その所有する当社普通株式の一部(以下、「売却意向株式」といいます。)について、売却する意向がある旨の連絡を受けました。
トヨタ自動車は、通信自由化の流れを受けて1980年代より通信事業に参入し、2000年10月の当社発足以降、当社の大株主となり、特に、当社及びトヨタ自動車は、2002年以降はトヨタ自動車のコネクティッドサービス(注2)等で協業してきました。また、クルマのインターネットへの「つながる化」が進む中、当社及びトヨタ自動車は、2016年から車載通信機とクラウド間の通信において、高品質で安定した通信をグローバルに確保するために、従来のローミングサービスなどに依存しない、グローバル通信プラットフォームの共同構築を推進するなど、クルマと通信の融合によって安全や快適さを提供する取り組みを加速させてきました。そして、2020年10月に業務資本提携の強化を公表した上で、2021年1月に当社がトヨタ自動車(2021年1月の直前で、当社が株主の保有状況を把握できる2020年9月末日時点において、所有株式数298,492,800株(所有割合(注3):12.98%))に対して18,301,600株の自己株式処分を実施し、今日に至ります。
しかしながら、現在、トヨタ自動車は、厳しい競争を勝ち抜き中長期的な成長を実現するため、モビリティカンパニーへの変革に取り組んでおり、「電動化」、「知能化」、「多様化」をテーマとした多額の投資が必要となる見込みから資産の有効活用や政策保有株式の縮減にも注力しているとのことです。
こうした状況下、トヨタ自動車は、当社との最適な資本関係について検討を行い、当社株式の一部売却の申し入れを行ったとのことです。
これを受け、当社は、上記自己株式の取得価額を拡大することの検討とは別途に、トヨタ自動車からの当社株式の一部売却の申し入れへの対応方法についての検討を2023年5月17日にかけて行いました。
具体的には、当社は、トヨタ自動車が当社普通株式を316,794,400株(2023年3月末日時点)所有していることに鑑みると、同社がその所有する当社普通株式を売却しようとする場合、その一部の売却であったとしても、売却数量は相応の規模になることが想定されるため、売却意向株式が市場に放出された場合における当社市場株価に与える影響を踏まえると、トヨタ自動車から自己株式を取得することが適当であると考えました。一方、当社は、これまでの自己株式の取得は市場買付けによる手法を中心に実施しており、また、2023年5月11日開催の取締役会において自己株式の取得価額を拡大し、2023年6月1日から2024年5月31日までの間に、株式総数92,000,000株及び取得価額総額3,000億円を上限とする自己株式の取得を決定したことを踏まえると、トヨタ自動車から自己株式を取得する場合でも、一定数量は市場から買付けることが望ましいと考えました。そのため、当社は、2023年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得の一環として、市場からの自己株式の買付けを行いつつ、トヨタ自動車から自己株式を取得することの具体的な検討を行いました。
かかる検討の結果として、当社は、トヨタ自動車の所有株式数や、2016年3月期以降は自己株式取得の決議毎に少なくとも約500億円以上の市場買付けを実施していることに鑑み、2023年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得における取得価額総額3,000億円のうち、市場から500億円程度の自己株式の買付けを行いつつ、トヨタ自動車から2,500億円程度の自己株式を取得することが適切であると考えるに至りました。
また、トヨタ自動車から自己株式取得を行う場合の具体的な取得方法については、①株主間の平等性、②取引の透明性、③市場価格から一定のディスカウントを行った価格での当社普通株式の買付けが可能であることにより、当該ディスカウントを行った価格で買付けを行った場合には、市場で取引されている価格との乖離による経済合理性の観点からトヨタ自動車以外の株主による応募は限定的となると考えられ、当社によるトヨタ自動車の売却意向株式の全部の取得の確実性が高まり、また、当社資産の社外流出の抑制に繋がること、及び④トヨタ自動車以外の株主にも一定の検討期間を提供した上で市場価格の動向を踏まえて応募する機会が確保されること等を考慮し、公開買付けの手法が適切であると考えるに至りました。
本公開買付けに要する資金については、その全額を自己資金により充当する予定ですが、当社が2023年5月11日付で提出した2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(以下、「2023年3月期 決算短信」といいます。)に記載された2023年3月末日現在における当社連結ベースの手元流動性(現金及び現金同等物)は約4,803億円(手元流動性比率1.0月)(注4)であり、本公開買付けの実施に約2,500億円を要することを考慮しても当社連結ベースの手元流動性は2,303億円程度(手元流動性比率0.5月)と見込まれます。本公開買付けに要する資金は、本公開買付けの決済開始日(2023年9月20日予定)以降に必要となる点を踏まえると、当社は、2023年3月末日現在における当社連結ベースの手元流動性に加えて、今後当社の事業から生み出されるキャッシュ・フロー(2023年3月期の営業活動による連結キャッシュ・フローは10,789億円)の積み上げ等も見込めることから、事業運営を行うに当たって十分な資金が確保でき、一度にまとまった金額の自己株式を取得した場合も当社の財務状況や配当方針に大きな影響を与えないものと2023年5月17日に考えるに至りました。
当社は上記検討内容を踏まえて、2023年5月18日にトヨタ自動車に対して、売却意向株式に対して、約2,500億円相当の当社普通株式を自己株式にて取得したいこと、またその取得方法を公開買付けの手法としたいことを提案いたしました。その結果、2023年5月31日にトヨタ自動車より、当社の上記提案について前向きに検討する意向が示されました。
本公開買付けにおける買付け等の価格(以下、「本公開買付価格」といいます。)の決定に際しては、当社普通株式が金融商品取引所に上場されていること、上場会社の行う自己株式の取得が市場の需給関係に基づいて形成される株価水準に即した機動的な買付けができることから金融商品取引所を通じた市場買付けによって行われることが多いこと等を勘案した上、買付けの基準となる価格の明確性及び客観性を重視し、当社普通株式の市場価格を基礎とすべきであると考え、その上で、本公開買付けに応募せず当社普通株式を引き続き所有する株主の皆さまの利益を尊重する観点から、資産の社外流出を可能な限り抑えるべく、当社普通株式の市場価格に一定のディスカウントを行った価格で買い付けることが望ましいと判断いたしました。
ディスカウント率については、近時の一定数の類似案件におけるディスカウント率の設定状況を把握するため、2021年1月1日以降に決議され、2023年5月末日までに公開買付期間が終了した自己株式の公開買付けの事例40件を確認したところ、ディスカウント率を用いて実施された33件(以下、「本事例」といいます。)において、10%程度(9%~10%)のディスカウント率とする事例が21件と最多であり、当社普通株式の株価のボラティリティを考慮してもディスカウント率を10%とすることが適切であると判断いたしました。また、ディスカウントの基礎となる当社普通株式の価格としては、特定の一時点を基準とするよりも、一定期間の平均株価という平準化された値を採用する方が、一時的な株価変動の影響等特殊要因を排除でき、算定根拠として客観性及び合理性をより確保することができると判断いたしました。他方、より直近の株価を用いた方が当社の直近の業績が十分に株価に反映されていると考え、取締役会決議日の前営業日の過去3ヶ月及び6ヶ月間の東京証券取引所プライム市場における当社普通株式の終値の単純平均値よりも短期間である取締役会決議日の前営業日の過去1ヶ月間の東京証券取引所プライム市場における当社普通株式の終値の単純平均値を基準とすることが妥当であると2023年7月20日に判断いたしました。
その後、当社は、2023年7月21日に、トヨタ自動車に対し、当社普通株式の株価動向を踏まえて、本公開買付けの実施を決定する取締役会の開催日である2023年7月28日の前営業日である2023年7月27日までの過去1ヶ月間の東京証券取引所プライム市場における当社普通株式の終値の単純平均値に対して10%のディスカウント率を適用して算出される価格を本公開買付価格とすることを提案したところ、2023年7月27日に、トヨタ自動車(本書提出日現在において、所有株式数316,794,400株(所有割合(注5):14.68%))より、当社が当該条件にて本公開買付けを実施する場合、2,500億円を公開買付価格で除して、100株未満を切り捨てした数の株数(以下、「応募意向株式」といいます。)について、本公開買付けに応募する旨の回答を得ました。
以上を踏まえ、当社は、2023年7月28日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条第1項及び当社定款の規定に基づき、自己株式の具体的な取得方法として本公開買付けを実施すること及び本公開買付価格を本公開買付けの実施を決議した取締役会決議日の前営業日である2023年7月27日までの過去1ヶ月間の東京証券取引所プライム市場における当社普通株式の終値の単純平均値4,333円(円未満を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとします。)に対して10%ディスカウントした価格である3,900円(円未満を四捨五入。以下、本公開買付価格の計算において同じとします。)とすること、本公開買付けにおける買付予定数については、取得総額2,500億円を本公開買付価格3,900円で除した株数(100株未満の端数は切り捨て)である64,102,500株とすること、並びに2023年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得における取得価額の総額(3,000億円)から、本公開買付けに基づいて取得された当社普通株式の取得価額の総額を控除した額の取得価額の総額の範囲内で、本公開買付けの決済の開始日の翌営業日である2023年9月21日から2024年5月31日までの間、東京証券取引所プライム市場において市場買付けを実施することを決議いたしました。
なお、当社取締役会は12名の取締役で構成されておりますが、当社の取締役である山本圭司は、トヨタ自動車のSenior Fellowを兼務しており、本公開買付けの検討・決定に際しての当社の意思決定過程における恣意性を排除するため、2023年7月28日開催の取締役会において、本公開買付けに関する議案の審議及び決議には一切参加しておらず、かつ、当社の立場においてトヨタ自動車との協議・交渉にも一切参加しておりません。
本公開買付価格である3,900円は、本公開買付けの実施を決議した取締役会の開催日の前営業日である2023年7月27日の東京証券取引所プライム市場における当社普通株式の終値4,314円から9.60%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、ディスカウントの計算において同じとします。)ディスカウントした金額、同年7月27日までの過去1ヶ月間の当社普通株式の終値の単純平均値4,333円(円未満を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとします。)から9.99%ディスカウントした金額、同年7月27日までの過去3ヶ月間の当社普通株式の終値の単純平均値4,379円に対して10.94%ディスカウントした金額、同年7月27日までの過去6ヶ月間の当社普通株式の終値の単純平均値4,214円に対して7.45%ディスカウントした金額となります。
また、本公開買付けにおける買付予定数について、当社は、2023年5月11日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得における取得価額の総額(3,000億円)のうち、本公開買付けに基づいて取得された当社普通株式の取得価額の総額を控除した分の取得価額の総額の範囲内で、本公開買付けの決済の開始日の翌営業日である2023年9月21日から2024年5月31日までの間、東京証券取引所プライム市場において市場買付けを実施する予定であるところ、市場で取引されている価格との乖離による経済合理性の観点から、市場価格からディスカウントを行った価格で実施される本公開買付けへのトヨタ自動車以外の株主による応募は限定的となると思われたため、トヨタ自動車との協議の上、本公開買付けにおける買付予定数は応募意向株式の株数と同数としております。なお、応募意向株式は、2,500億円を3,900円で除して、100株未満を切り捨てした64,102,500株となります。
なお、本公開買付けに応募された株券の数の合計が買付予定数を上回った場合には、あん分比例の方式による買付けとなり、当社は応募意向株式のうちの一部を取得することとなります。当社は、2023年7月27日、トヨタ自動車より、本公開買付けに応募された株券の数の合計が買付予定数を上回り、あん分比例の方式による買付けとなった結果、応募意向株式64,102,500株の全てが買付されない場合、当社が取得することができなかった当社普通株式については、現時点では所有を継続する旨の回答を得ています。
また、当社及びトヨタ自動車は、2023年7月27日、トヨタ自動車が引き続き当社の大株主であることは変わらず、今後も良好な協力関係が維持できると判断しており、当社は、トヨタ自動車より、トヨタ自動車が所有する応募意向株式以外の当社普通株式252,691,900株(所有割合:11.71%)の所有方針について、現時点では所有を継続する旨の回答を得ております。また、2020年10月に公表したトヨタ自動車との業務資本提携の強化については、両社で着実に研究開発を進め、この成果を次世代グローバル通信プラットフォームの構築に織込むべく取り組んでおり、当社とトヨタ自動車は、両社の企業価値向上と更なる社会への貢献に向けて、引き続き協力して推進する旨を確認しております。
なお、本公開買付け及び本公開買付け実施後の市場買付けにより取得した自己株式の処分等の方針については、現時点では未定です。
東証開示資料:自己株式の公開買付けに関するお知らせ(455KB)