水素発電の電源車を活用、CO2排出ゼロで基地局を運用する実証実験を実施

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2021年8月17日

KDDI株式会社

~災害時など長期停電が想定される状況下での地球環境保全に向けた取り組み~

KDDIは、デンヨー株式会社 (本社: 東京都中央区、代表取締役社長: 白鳥 昌一、以下 デンヨー) とトヨタ自動車株式会社 (本社: 愛知県豊田市、代表取締役社長: 豊田 章男、以下 トヨタ) が共同開発した水素で発電する燃料電池電源車 (以下 FC電源車) (該当項目へジャンプします注1) を活用し、災害などの長期停電時に二酸化炭素 (以下 CO2) 排出ゼロで基地局を運用する実証実験 (以下 本実証実験) を行い、基地局への給電手段としてFC電源車が有効であることを確認しました。

本実証実験は、2050年までのCO2排出量実質ゼロ実現に向けた取り組みの一環として実施し、KDDIはデンヨー、トヨタと連携し、従来の移動電源車に代わる新たな電源車としてFC電源車を本格導入することを引き続き目指します。

<本実証実験で使用したFC電源車>

■背景

KDDIは移動電源車54台を保有し、災害などの長期停電時に基地局へ電力を供給できるよう備えています。従来の移動電源車は、軽油が燃料のディーゼルエンジンを用いており、走行中・発電中にCO2を排出します。また、操作するためにはスイッチやアナログメーターに関する専門的な知識を要するため、操作できる人が限定されています。
本実証実験は、FC電源車を移動電源車として活用することで、走行中・発電中のCO2排出ゼロと操作性向上を目指しました。

■本実証実験について

1. 本実証実験の概要

愛知県名古屋市にある基地局の年次計画停電期間 (2021年6月12日) に、FC電源車から給電を実施し、FC電源車の発電性能と操作性、静音性を検証しました。また、本実証実験で消費した電力量を従来の移動電源車で発電した際に発生するCO2排出量を計算することで、FC電源車導入によるCO2の排出削減量を確認しました。

2. 結果

  • (1)

    発電中におけるCO2の排出削減量

    従来の移動電源車 (該当項目へジャンプします注2)本実証実験で用いたFC電源車
    CO2排出量 32.7kg-CO2 0.0kg-CO2
  • (2)

    発電性能

    auのエリアカバー用の電波を発する基地局に対して、FC電源車による安定的な給電が可能であることが確認できました。今後、デンヨー、トヨタと連携して、容量確保用の電波を発する基地局に対しても、FC電源車による安定的な給電を可能とすることを目指していきます。

  • (3)

    操作性

    FC電源車はスイッチやアナログメーターがなく制御パネルのみですべての操作が可能で、従来の移動電源車と比べ簡易に操作でき、専門的な知識がなくても始動から給電、停止までの一連のオペレーション作業において操作可能であることが確認できました。また、短時間の操作で給電可能なため、迅速性が求められる復旧対応に有効であることが確認できました。

  • (4)

    静音性

    従来の移動電源車は70.1dB (掃除機レベル) の大きさの騒音を発生していましたが、本実証実験で使用したFC電源車は58.8dB (普通の会話レベル) にまで騒音の大きさを抑えることが確認できました。
    これにより、夜間や早朝でも近隣のお客さまに迷惑をかけることなく給電が行え、避難所で対応する場合も被災者さまの心身への負荷軽減が見込まれます。

KDDIは今後も、本実証実験を通じて、"社会の持続的な成長に貢献する会社"として、カーボンニュートラル実現および地球環境保全に貢献していきます。

(参考)

■KDDIの取り組み

KDDIは、これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続けるという決意をこめ、2030年を見据えたKDDIのSDGs「新規ウィンドウが開きますKDDI Sustainable Action~私たちの『つなぐチカラ』は、未来のためにある~」を策定しました。このたびの取り組みは、「命をつなぐ~地球環境の保全~」に該当します。

  • 注1)
    従来の移動電源車は、走行時・発電時の動力源としてディーゼルエンジンを用い、軽油を燃料としているため、走行中・発電中にCO2などの環境負荷物質を排出します。一方で、本実証実験で活用したFC電源車は、動力源として燃料電池を用いているため、走行中・発電中の環境負荷物質の排出がゼロになります。発電時に生成されるのは水のみであり、生成された水はシャワーなどへの活用が可能となります。
    (新規ウィンドウが開きますhttps://global.toyota/jp/newsroom/corporate/33758515.html)
  • 注2)
    本実証実験で消費した電力量を従来の移動電源車で発電した際に発生するCO2排出量。本実証実験の電力消費量 [kWh] ×同出力容量のディーゼルエンジン発電機燃料消費量 [L/kWh] ×軽油の二酸化炭素排出量 [kg-CO2/L] にて算出。

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