聴覚障がい者向け「音声認識IoT」開発授業の実施について

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2018年3月28日

KDDI株式会社

この度、KDDIは、聴覚障がいを持つ学生へのIT教育による就労支援と、聴覚障がい者が日常生活で抱える課題の解決を目的に、ろう学校の生徒に対して、音声認識による文字変換をIoTで制作する授業を、3月17日 (土)、18日 (日) の2日間を通して実施しました。

本授業開催のきっかけは、ろう学校の生徒達が、日常不便に感じていることを出しあうミーティングでの「好きなテレビ番組に字幕がない」という生徒の発言がきっかけでした。

同課題への取組みは、手話通訳者や要約筆記のない大学での講義や講演会などへの活用も期待できることから、同じ課題を有するろう学校の生徒が本授業に参加し、IoTによる音声認識プログラムを開発し、最終日には、実際に自分達が制作したIoTを起動させ、各自が全員の前でプレゼンテーションを行いました。

本授業には、東京都立中央ろう学校木村容一教諭及び内田貴博教諭ご協力のもと、同校在籍の生徒10名が参加しました。

本授業に参加した生徒からは、「自分の将来のためにやるから、やりがいを感じることが出来た」、「無理と思わず、やってみることで新たな発見をし、自分のことについての理解が深まった」、「システムエンジニアになるという夢が、具体的に想像出来た」といった感想がありました。

また、木村教諭からは、次のコメントを頂きました。
「聴覚に障がいのある高校生にとって、音声言語の可視化 (以下、情報保障) は進路選択にあたって大きな障害となっています。現在、大学における情報保障の手段として、主にボランティアの大学生が、先生が話をした内容をノートに要約筆記するノートテイクが用いられています。しかし、これは人の力に頼る取り組みであるため、大学側にとっても大きな負担となり、十分な受け入れ態勢を整えることができないことから、多くの大学から入学を断られている現状があります。このことが、聴覚に障がいのある学生の進路選択ひいては職業選択の幅を狭めており、学校としても大きな課題であると認識しているところです。
本授業は、Raspberry Pi (ラズベリーパイ、手のひらに載る超小型コンピューター) とGoogle Cloud Speechを教材に使った高度な内容でしたが、生徒にとって切実な課題であるため、どの生徒も集中して楽しく取り組むことができました。この2日間で学習したことを学校に持ち帰り、生徒と共に実用化に向けた試用・改善に取り組んでいこうと考えています。今後も、自らの課題に気付き、主体的に課題解決をしていこうとする学習活動をKDDI様と協同して行えたら幸いです。」

KDDIは、今後も「障がい者等へのIT教育支援」、「ITで社会的課題を解決していく活動」を継続的に実施していきます。

Raspberry Piは、Raspberry Pi財団の商標です。
GoogleおよびGoogle Cloud Speechは、Google Inc.の登録商標または商標です。


[1] 授業の様子


[2] 生徒によるプレゼンテーションの様子


[3] 制作したIoTを使って、実際に「模擬授業」を実施する木村教諭


[4] 参加したろう学校の生徒達


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