離島・へき地を支える医療現場の課題解決へ 地図情報・位置情報をベースにした日本初のオンライン診療・ドローン配送システムを実証

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2021年12月15日

株式会社ゼンリン
株式会社オーイーシー
KDDI株式会社
大分県

株式会社ゼンリン (本社: 福岡県北九州市、代表取締役社長: 髙山善司、以下、ゼンリン)、株式会社オーイーシー (本社: 大分県大分市、代表取締役社長: 加藤健、以下オーイーシー)、KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋誠、以下KDDI)、大分県 (知事: 広瀬勝貞) の4者は、2021年10月および12月の2度にわたり、大分県佐伯市にて、遠隔診療システムとドローン配送を組み合わせた実証事業 (以下、本実証) を実施しました。
大分県では、地域が抱えるさまざまな課題の解決手段として、先端技術の活用を進めています。高齢化の進む離島やへき地では、医療への需要は高いもののリソースは限られており、適切な医療機会の提供が重要な課題です。そこで、"離島・へき地を支える医療での先端技術の活用"をテーマに、4者は地元医療機関などと連携し、「オンラインによる診療・服薬指導」と「ドローンによる医薬品配送」などを組み合わせたサービス実証事業を行いました。
本実証では、ゼンリンが提供する地図プラットフォーム「ZENRIN Maps API」をベースにゼンリンとオーイーシーが開発した「遠隔診療システム」を用いた、離島と本島間におけるオンライン診療・服薬指導から、KDDIの「スマートドローンプラットフォーム」を活用したドローンによる医薬品配送までのオペレーションを展開し、一元管理する検証を行いました。
今後は実証結果の検証・分析を行い、離島やへき地における医療従事者の負担軽減や、地域住民の医療機会の増加につながる事業モデルの策定を進めることで、ドローンをはじめとする先端技術の活用を通じた地域課題解決を目指します。
なお、本実証は大分県の「遠隔診療×ドローン物流社会実装モデル構築推進事業委託業務」として実施したものです。

  • ゼンリン調べ、2021年7月時点

オンライン診療・服薬指導、ドローン配送 実証実験イメージ図

■本実証実験の背景

大分県では、IoTやロボット、ドローン、アバターなどの先端技術を活用し、新たな産業分野に取り入れることで地域課題の解決や県内産業の振興を目指す「先端技術への挑戦」の一環として、ドローン物流の社会実装を推進しています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会的な要請を経て、オンライン診療の利活用が広がりはじめています。特に、医療リソースが限られる離島やへき地では、安定した医療サービスの提供の機会として、オンライン診療の活用が期待されています。さらに、離島やへき地で医療に携わる医師の不足や、人口減少下での医療サービスの維持は全国的な課題であり、本実証フィールドとなる大分県佐伯市鶴見地域も、同様の課題を抱えています。

■本実証実験概要

本実証では地元医療機関などと連携し、離島や本土の病院・診療所をそれぞれオンラインで結ぶことで、拠点間でのオンライン診療・服薬指導を行うとともに、処方された医薬品をドローンで各拠点へと配送する実証事業を行っています。

【実施期間】

第1弾 2021年10月6日~10月15日

[1] 診療所間診療で使用する「遠隔診療システム」の各種機能、ユーザービリティに関する技術検証 (佐伯中央病院-鶴見診療所間、丹賀診療所-大島診療所間ほか)
[2] ドローンによる医薬品配送のルート検証および「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」への適合性確認
[3] 地元医療機関などと連携し、丹賀診療所-大島診療所間でのオンライン診療からドローンによる医薬品配送までの一連検証

第2弾 2021年12月8日~12月17日 (予定)

[1] 地域の医療ニーズを踏まえて改良した「遠隔診療システム」の運用検証
[2] 実装を見据えたオペレーションを前提としたドローンによる医薬品配送・模擬検体輸送
[3] 丹賀診療所-大島診療所間でのオンライン診療からドローンによる医薬品配送までの一連検証

【12月実証内容】

1. 地域の医療ニーズを踏まえて改良した「遠隔診療システム」の運用検証

開発した「遠隔診療システム」を用いて、異なる診療所にいる医師と患者などがつながり、オンラインにて診療行為を実施しています。「遠隔診療システム」では、医師によるオンライン診察の対応可否に関する情報も共有でき、実施が可能と判断された場合にはそのままオンライン診療をスタートすることができるようになっています。
また、地域の医療従事者の声を踏まえて高齢者などが多い離島・へき地の状況を踏まえたシンプルなUIで構成されており、耳の聞こえにくい方や小さい文字などが見えにくい方でも円滑に使用できるサービスを提供しています。

遠隔診療システム イメージ

2. 実装を見据えたオペレーションを前提としたドローンによる医薬品配送・模擬検体輸送

「スマートドローンプラットフォーム」を活用したドローンによる医療物資配送の検証として、診療所間の医薬品配送および検体輸送を実施しています。特に、医薬品の診療所間配送には最短で25分を要するため、受け渡し方法や安全な医薬品管理などの検証も進めています。

[1] 丹賀-大島間飛行 (飛行距離: 4.5km、飛行時間10分)
丹賀診療所と大島診療所でのオンライン診療後の医薬品配送

[2] 丹賀-鶴見間飛行 (飛行距離: 11km、飛行時間20分)
丹賀診療所で採取した検体の輸送 (本実証では模擬又はサンプル検体を使用)

3. 実際の医療サービスとしての本島と離島の診療所間におけるオンライン診療・ドローン配送実証

上記1. 2. の取組の成果として、丹賀診療所 (本島) にいる医師が大島診療所 (離島) にいる患者を、「遠隔診療システム」を用いて診察したのち、処方した医薬品をドローンにて診療所で待つ患者へと配送する実証実験を実施しています。

実施日: 2021年12月15日および17日 (予定)
実施人数: 6名 (予定)

各者役割
ゼンリン 提案主体、事業運営管理、ビジネスモデル検討、遠隔診療システム企画・開発、各種地図API提供他
オーイーシー 遠隔診療システムの開発他
KDDI ドローン機体の提供、スマートドローンプラットフォームの提供他
タイプエス ドローンオペレーション他
佐伯中央病院 遠隔診療実証協力他
佐伯市 実証フィールドの調整、関係機関連携協力他
大分県 地元・関係機関調整支援他

なお、本日2021年12月15日には、本実証の公開デモンストレーションとして、本土と離島の診療所間の遠隔診療およびドローンによる医薬品配送までの一連の流れをメディア公開いたしました。

【参考資料】

■ゼンリンの時空間データベース (注) を最大限に活用したAPI「ZENRIN Maps API」

ゼンリンが提供するAPIサービス「ZENRIN Maps API」は、地図コンテンツや検索機能、位置情報に関連する機能を、ウェブサイトやWebアプリケーション、スマートフォンアプリなどに実装するための開発ツールです。各業界・業務と連携し、事業活動の効率化と新たな価値の創出を支援しています。

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■オーイーシーのクラウドサービスを通じたソリューション提供

オーイーシーは、クラウドサービスを通じて大分県内をはじめ、全国のお客さまへ公共・民間ソリューションを幅広く提供しています。またデジタルトランスフォーメーション (DX) のご提案やAI・IoT・ドローン、データ分析などにも取り組んでおります。本実証の遠隔診療システム開発のように、変化に強く、お客さまに新たな価値をご提供し、さらなる信頼を得られる様、人と社会と未来へ貢献して参ります。

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■KDDIのスマートドローンについて

KDDIは、ドローンが日常生活を支えるインフラとして、物流・監視・農業などのさまざまな分野で活躍する社会の実現に向け、4G LTEなどのモバイル通信でドローンを遠隔制御し、安全な長距離飛行を実現する「スマートドローンプラットフォーム」を開発・提供しています。

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  • 注)
    ゼンリンが全国の調査網により収集したさまざまな情報を一元管理し、最新の情報をお客さまにとって最適な形で提供可能なデータベース

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